教室バロック




新宿駅前の立ち食いそば屋


やたらルウはメニューに詳しくて
店のおじさんともおばさんとも
かなり親しい様だった



ルウは
「 コーラのみたい 」と
自分でガラスの冷蔵庫に向かい
オレが奪ってほとんど飲んだら
半泣きしていた






駅の改札口
目的地は横濱らしい

一人で帰れると言ったが
中華街の駅まで、しっかり送った




「 家、駅から近いのか? 」


「 うん 三分くらい 」



「 …着いたらハルトさんに
連絡、いれてやれ 」


「 … ? うん わかった 」





ルウは笑って手を振り、オレは舌を出した



―― またハルトさんの所にも行くし
すぐに会える



琥珀色の 長い髪を揺らして

遠目から見ると本当に、
西洋人形の様に見える姿を見送り

タワーのあかりや
観覧車の光を眺めながら
帰りの電車に揺られた





「 ――― ありがとうな ルウ 」







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