教室バロック









宿に着いたら
夕飯までの、短い自由時間


「 風呂入りたいけど
入ったら飯食わないで寝そう 」

那智が座布団を枕にして
アクビをしながら呟く

相変わらず部屋の奥で
携帯ゲーム機をいじる真田が
少し顔をあげて笑い

もう布団を敷いて
グッタリしている湯浅が寝息をたてていた




「 ま、でも行くかあ 」と
那智は起き上がって
奥に突然歩いて行き、タオルを一枚
真田の頭に放った


携帯ゲーム機の中からクラッシュ音


戸惑う真田に、那智が声をかける



「 お前も行こうよ
昨日も入ってないだろ 」


真田はどうしていいかわからなくて
ゲームをやりながら食っていた
スナック菓子を手で潰してしまって
ますますオドオドと慌ててしまう



「 …おい 那智 あんま無理強いすんな 」



「 黙ってるだけが親切じゃねえだろ

真田さ
おまえ、旅行中
ずっと風呂入らないつもりか? 」


問答無用で
那智が真田の腕をつかんだ







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