教室バロック
カコーンと
白い湯気が沸き立つ大浴場に、
まだ笑いのとまらない湯浅が
桶を置く音が響く
那智とオレは天井を眺めながら
四肢を伸ばして湯に浸かり
『 あー 』と低い声をあげた
真田は洗い場の端に座って
一生懸命頭を洗っている
「 …まあ
空哉に言われた瞬間
あー… 風呂っつうと
色々気にする事もあんのかって
気がついたけどさ…
中学校の修学旅行で、
そんな奴らいたなあとか思い出した 」
「 オレが小学生の時そうだったからな 」
「 え?! なんで 」
「 今じゃこんなに背も伸びたけど
髪の毛茶色いし、体も小せえし
ガキって遠慮知らずだから
『 女じゃねえのか?! 』ってさ 」
「 …やり返せよそんなの 」
「 やり返したぞモチロン
日本に戻って来たばっかで、
言葉あんまりわかんなかったけど
そういう" 悪口 "のニュアンスって
何でかわかるんだよな
だから、メンドクセエし
全員ぶちのめした 」
那智が大声で笑う