教室バロック







  嵐山 嵯峨野



山瀬、妹尾、オレの乗った
ゆっくりと走るタクシー


外に見えるは
火の様に萌える 紅葉の山と

幅広の桂川が流れる
木で出来た長い、渡月橋




「 ―― なんだっけ 空哉

花菱先生が言ってた
この橋の事うたってるやつ 」



「 " くまなく月の 渡るに似る "? 」


「  それだ  」




"よお知ってはるなあ"と
運転手さんが笑った




有名なのは、竜安寺の石庭

玉砂利の敷き詰められた広いそこに
十五個の置き石があって

どの角度から見ても、一個だけ
石が見えない作りになってる



『何で?』と花さんに聞いたら


『 "後の一個は、心の目で見ろ"って
事らしいよ 』と返って来て

誰かが、
『エスパー訓練場?!』と言って
爆笑が起こったのを思い出した



京都が故郷の、桜井情報だと
後は、トロッコ列車


縁結びと安産の野宮神社
お亀石という、カメの形の石があるらしい



近くに花灯路、竹林

甘味や豆腐を食う所が結構あって
お気に入りの場所に案内すると
張り切っていた






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