教室バロック
那智は立ち上がり
上着に袖を通した
「 ――― とにかく
空哉も花さんも、もう
…俺はもういい加減手、引くわ
あれは無理
さっきので本気でキレた
――― んじゃ!!また新学期
ちょっと早いけど、よいお年を! 」
階下で那智の
『 お邪魔しました〜! 』の声
それに元気よく
『 気をつけてかえれよー』と
男性の声が返った
「 花さんのお父さん? 」
「 そ、むやみに元気でしょ 」
「 ―― ゴメン 花さん 」
「 ううん!!
私こそ慌てて電話したりなんかして… 」
「 …違う
ロボなんて言った事 」
「 なんで謝るのよ
…… 私だって別に、善人じゃないからさ
何で私だけって…
しっかり一時期は運命をうらんだし
相当ワガママ言って、両親にも迷惑かけた
――― でも
空哉くんに、そう言われて
ああ、
そういう風に考えるのもアリかって
すごく気持ちが楽になったのよ
―――― 本当に 」
花さんは笑って
『 …それでも何とかしなきゃね 』と
伊藤が脱ぎっぱなしにしていた寝巻を
きちんとたたんで、ベットの上に置いた
「 …お腹すいちゃったわね
食べて行くでしょ? 」
「 あ… あんまり気、使わなくていいから
オレ 」
「 …夕べの残りのすき焼きと
冷凍したゴハンだけど文句ある?! 」
「 …ありません 」
「 よろしい 」