教室バロック




母親は、
海外のパーティーや、公の場所で
妻を同伴しない出席は有り得ないと
すでに諭されていたらしく
かなり沈痛な面持ちで、席に座っていた




「 タカコはまだ小さいから
一緒に連れていくつもりだ

お前はどうする? 空哉 」


「 く… くうやちゃん!
もちろん、一緒に行くわよね?!

お母さん、あなたがいない生活なんて 」


「 君は黙っていなさい

―― これは空哉の問題だ

未来を目差す子供の気持ちを
親が支配する権利は無い 」




父親の空気が、以前と違う

…… 大きな仕事という事もあるけど
前はどこか、母親の行動に関しても
見て見ぬフリの感じがあって


こんな風に
厳しい口調で制するなんて事は
一度もなかった



「 …どうする? 空哉 」







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