教室バロック
一番最初に
頭の中に浮かんだ言葉
―― お母さんと 離れたいです
だけど
ハッキリこれを言葉に出したら
何かが終わってしまう気がする
――― あなたの事は
ちゃんと大切です
『 お母さん 』
転んで帰って来た時
『男の子なんだからガマンしなさい!』と
笑いながら消毒してくれた事も
運動会で必死にビデオを回しながら
手を振ってくれた事も
夜中に急に熱が出て
オレを抱えて、病院に走ってくれた事も
――― ちゃんと全部、覚えてるんです
だけど 苦しいです
貴女の豪華弁当に埋められて
だんだん
僕の中の『 お母さん 』が
腐敗したそれと一緒に
見えなくなって行くんです ―――