教室バロック






誰も傷つけたくない

それはムリでも


なるべく苦い味は
オブラートに包んで

それが『普通』に生活する為の『作法』





「 …父さん 」


「 うん 」


「 オレさ

まだ先の話だけど 外部、
受けようと思ってさ 」



「 大学か? 」


「 うん

―― 幼稚舎からずっと同じで
気心知れてるし、
結構、楽ではあるんだけど 」



「 … 息苦しいか 」


「 うん 少しね 」









眼鏡を外し

少し拭いて、またかけ直して
父さんが言った



「  空哉 ちょっと、散歩行くか  」







< 78 / 287 >

この作品をシェア

pagetop