教室バロック
誰も傷つけたくない
それはムリでも
なるべく苦い味は
オブラートに包んで
それが『普通』に生活する為の『作法』
「 …父さん 」
「 うん 」
「 オレさ
まだ先の話だけど 外部、
受けようと思ってさ 」
「 大学か? 」
「 うん
―― 幼稚舎からずっと同じで
気心知れてるし、
結構、楽ではあるんだけど 」
「 … 息苦しいか 」
「 うん 少しね 」
眼鏡を外し
少し拭いて、またかけ直して
父さんが言った
「 空哉 ちょっと、散歩行くか 」