教室バロック
青葉が繁る、真夏日
庭のプールでは
ヒロミさんと双子の姉妹が
賑やかに騒ぐ声がする
突然電話をして来た湯浅は
汗だくのまま、
いきなり土下座をし始めた
「 湯浅、このイラストの人なんなの? 」
「 えっと…
『 ありすちゃん 』書いてた人
昔はSFファンタジー描いててさ
絵柄も、丸っきり違うんだよ
途中で路線変更して、
えと…
ちょうどこのキャラクター
『 螺旋世界・ユグドラシル 』の
主人公 " アート・スフィアル "の聖誕祭が
コミケの日に重なったから
俺達の所も本作ったんだけど…
空哉
…おまえにソックリなんだよおおお!!」
「 着るはずだった人と揉めたのか? 」
「 …うん
原稿頼んだ作家さんがさ
昔風っていうか
そのキャラクターに愛があってこそ
コスプレするのに値するって人で
頼んだ人は、流行り物があったら
そっちにすぐ飛び付くタイプの人 」
「 …それで揉めたんなら
余計オレが着たらいけないんじゃねえの?
愛どころか、オレこのキャラクター
今初めて知ったし 」
「 別にあちこち
飛び回ってるわけじゃないじゃん!!
―― それになにより空哉は
アートに、骨格からして似てるんだよ!!」
「 …骨格… 」
「 そう!
この作者最近忙しくて
結構手抜きも多いんだけど
…それでも絵が見られるのは
基本デッサンしっかりしてるからなんだ
俺、何が嫌って、
手が有り得ない所から曲がってるとか
…とにかくお願いします!!
かなり今回、本気なんだ!! 」