仮想世界に生きる少年
1. 美人
俺は煙草を一本出し、煙草に火を点ける。








俺は今『デレーブ』という国の軍施設周辺にいた。










ここで神山と会う約束をしていた。









俺が旅を始めてもう十年経った。











色々な国を旅して何年か経つと俺の国『ヘブン』が全ての国のトップに立った。


『W』が国を乗っ取り、国の反対勢力を一掃し、さらに様々な世界中の研究者や技術者等を国に呼んだことで世界一の技術大国家に成長した。


一見、素晴らしいことのように思えるがそれは大きな間違いだ。


世界の技術は『ヘブン』を中心に進歩した。


それならば、『ヘブン』以外の技術はどうなるだろう。


世界は『ヘブン』のやり方に反対を示し、武力で世界のバランスを戻そうとしていた。


だが、それで勝利したことは一度もない。


初めは予告を出してからの攻撃が続いたが勝てず、奇襲をしても勝てない。


『ヘブン』には『悪魔』が住んでいると噂されていた。


一人の人間が全てを破壊するという話なんて初めは信じなかった。









でも、今は違う。









俺は煙草を吹かした。








こうして、旅をしていると自分の国が懐かしく思えた。


どんな国に成長したのか見てみたい。


でも、それは全てが終わった後でいい。









俺の吸っている煙草はヘブン産の『スピリット』という煙草だ。


煙を肺に入れて吐く。


それの繰り返しなのに止められない。


俺が煙草を吸い始めて知ったことが一つだけあった。







それは『間』だ。







煙草を吸うと終わるまでに五分かかった。


その五分間が自分と外の世界に壁を作ってくれた。


だから煙草は止められない。








また煙草を吹かした。
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