仮想世界に生きる少年
廊下に出て、隣の部屋に移動した。



ヨシトに聞くと、もう用事が済んだから何を見せたいのかがわからないと言われた。



部屋に入ると、さっきの部屋とはガラリと変わり、ヨシトに見せるようには用意されていない。




さらに作り途中だった。





「親父、これが俺に見せたかった『開発途中の作品』か」


「そうだ。これは『GDS-S2:キャンセル』だ」


俺は大きな装置を見上げた。




「これは『キャンセラー』の応用なんだ。
今現在は皆が『キャンセラー』を付けているが、この装置では『キャンセラー』を付けずに無能力者に出来るんだ」




「これがねー。
開発途中ってことはまだ完全じゃないんだろ」




「この装置の吸収率が96.8%で100%じゃないんだ。
我々はこの装置が100%にするまでは商品化できない」





「完全な才能のない世界にしたいのか」




「ああ、私たち、エレクトロニクス社の企業理念は『Cの世界を実現します』だからな」










「『Cの世界』ってなんだ…」
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