仮想世界に生きる少年
「タクヤ、君も一応『C』のメンバーだろ」


ヨシトが驚いて聞いてきた。



「だから、知らないって…どういう意味なんだよ」



「『Cの世界』ってのは『顕在能力を評価する世界』を意味しているんだ。
そのモデルがこの国『ヘブン』だ。実際に才能を使う者がいないだろ。
皆、生きるために勉学を優先しているだろ」



「いつ、そんなことが決まったんだ」



「この国が『W』の支配下になった日だ。君もいただろ。その場に」



「俺はその頃にはこの国から離れていた」



「そうだったのか」








俺が親父の方を見ると親父は下を向いていた。







「タクヤ…あの時はすまなかった」



「いいんだ。親父のおかげで俺は今を生きているんだから」




「…そうか」





ヨシトは何も言わなかった。場の空気を読んだのだろう。
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