仮想世界に生きる少年
俺達は会社の入り口に戻ってきた。





「この度はわざわざ弊社に来て頂きありがとうございました」





親父はヨシトにお辞儀をした。




「いいんです」




「タクヤ、まだ家はあるんだ。戻ってきてもいいんだぞ」



「考えとく…」




俺達は親父と別れた。












車に乗るとヨシトが話しかけた。






「ありがとう」



「どうしたんだ。突然」



「十年ぶりに親父に会えたんだ。
俺一人じゃ、こんなところにも来なかったし、親父に会おうともしなかった。
合わせてくれてありがとう」





「どういたしまして」








ヨシトは車を飛ばした。








「次はどこに行くんだ」








「最後は終点。君の友達が住んでいる家までね」







「友達か…」
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