仮想世界に生きる少年
しばらく待つとヨシトが戻ってきた。






「今は『ヘブン』の研究室に所属しているから、ここに来るまでには三十分だそうだ」







「わかったわ」









あとは伊藤に話をするだけだった。





俺は隣に座っている伊藤に話しかけた。









「伊藤、俺の書いたレポートを読んだか」






「ああ」





「感想はどうだった」






「まだ、現実は難しい。それが読んで感じたことだ」





「何を話し合っているの。私にも教えなさいよ」





「山本が今までの旅を踏まえてレポートを書いたんだ」






「どんな内容だったの」







「十年間、旅をして、様々な地域や軍の情報、人々の生活等を様々な視点から観察した結果をまとめたものだ」







伊藤の説明で辻本がレポートに興味を示していた。








「言っとくが、あのレポートは現実的なものだ。
理想を書いたんじゃないからな」








「それは読んでてわかる」








「結果はどうだったのよ。レポートの結果は」










俺は辻本を見た。







辻本に話しても…『W』総長に話しても支障がないことを考えた。










しかし、伊藤に読まれたのだ。









いづれは辻本にも渡るだろうと考え、話すことにした。
< 125 / 164 >

この作品をシェア

pagetop