仮想世界に生きる少年
32. 時間
車の中、俺は辻本に『キャンセラー』を外すように頼んだ。





本部に着いたら外すと約束した。





この装置があると本当に面倒だ。







俺の仕事ができない。







能力さえ使えれば、この国の事、経済、歴史等のことを調べられるのに、今の俺にはそれができない。







俺の持つ能力が便利であったことがハッキリと理解した。














本部に着くと、辻本の部下が数人待機していた。




辻本は部下に指示を出し、俺達の護衛をさせた。




辻本の後を追いながら、俺は辻本に話しかけた。








「辻本、保管装置あるんだろうな」



「あるわよ。それに現在もその保管装置を使っているもの」



「どこに…」



「無線装置としてね」





「無線装置か…」









「そうよ。昔の保管装置でも、まだ使える装置よ」
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