仮想世界に生きる少年
「辻本、もし指定の三分が過ぎたらどうなるんだ」





「私が『鍵』を抜くだけよ」







「その場合、俺はどうなるんだ」







「簡単な話よ。出られなくなるわ」







「ちょっと待てよ。俺を殺す気か」







「だったら止めなさい」






「もし、俺を閉じ込めたら、システム内部からシステムを破壊するぞ」









「そのために監視を付けるんじゃない」






俺は京野を見た。






指定時間に戻らないとこいつに殺されるのか…












「もし…仮にも京野が辻本を裏切ったらどうするんだ」








「その場合の人質も用意しているわ」









「人質…」













辻本は俺の胸を指差した。














「まさか…」













「そうよ。あなた達の身体が人質よ」












「いや…ちょっと待てよ。そこまでするか、普通」












冗談だったら笑えるが、辻本の横にはヨシトがいた。








こいつは『デレーブ』でアウルを殺していた。








冗談でも本当のように聞こえた。












「どうするの。止めるなら今よ」












俺はこんなところで命を落としたくない。








時間内に調べればいいだけだ。









俺は京野を見た。







こいつと協力しなければ間違いなく、こいつらに殺される。













京野に俺は一つ頼んだ。














「正確に時間を測ってくれよ」
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