仮想世界に生きる少年
33. 仕事
俺は京野と話し合いをした。




三分間だけだが、互いに命の危険を感じるもの同士だ。



慣れ合うのは好きじゃないが、そんなこと言ってられない。



本当に命が危うい…












辻本の話では十年前に『W』基地が壊滅させられたらしい。


そのときに、辻本がサーバのデータをハードディスクに入れて、基地の情報を消去した。



俺が見たいのはそのハードディスクだが、現在は無線機の内部に組み込まれている。




十年前の基地で使用していたシステムは辻本の持つ鍵を差し込めば、自動的にデータをハードディスクに移す仕組みだった。






最新のシステムは辻本の『鍵』を入れて、入力をしない限りはデータがハードディスクに移されないものになっている。




この仕組みにしたのはシステムにトラブルが起きた時のためだ。




なぜ、ハードディスクを無線装置内部に入れたのかには二つの答えがあった。






一つ目が辻本の言う『まだ使える装置』だそうだ。




二つ目が『W』は『連絡が命』だ。







無線装置にある情報が『W』内では最重要なデータらしい。


















俺達のやることは簡単なことだ。





俺達は『電子分身』で無線装置の中に入り、辻本の『鍵』を入れてもらい、システム内部に潜入。





『Xファイル』情報を見つけて、資料を確認して、システムから出る。


















俺と京野は会話をして頭の中を整理した。










「…ふー」











俺は天井を見上げた。
















「やっぱ俺…死ぬかもな…」
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