仮想世界に生きる少年
俺達はその場を離れた。






急いでサーバの出口へ移動した。







残り時間二分五十秒…







出口が見えてきた。閉まり始めていた。










「辻本め、予定よりも早く鍵を抜いたな…」






俺達は閉まる寸前でサーバから出た。







京野がサーバを出ると同時にサーバへの扉が完全に閉まった。













『PCの世界』から出ると、通信室の部屋では呼び出し音が鳴り続けていた。






辻本の部下たちは急いで通信を始めた。






俺達は自分の身体に戻った。













目を開けると辻本がこちらを見ていた。










「探し物は見つかった」











辻本は俺に手を差し伸べた。









俺は手を掴み、立ちあがった。








「ねぇ、どうだったのよ」











俺は辻本の質問に答えられなかった。











「辻本…」










「何よ」













「鍵、抜くの早くなかったか」
< 139 / 164 >

この作品をシェア

pagetop