仮想世界に生きる少年
「はーい」…

女性の声がして、驚いた。



女性だったのか…




扉が開き、女性と目があった。






「ここに『金本ユウジ』さんはいるかぃ」




女性は俺の顔を不思議そうに見ていた。




「いるわよ…」





「会わせてください」





ここに『金本ユウジ』がいるんだ。







何があっても会わせてもらう。





「入って…」





女性が部屋に俺を入れてくれた。




俺は狭い部屋を歩きながら『金本ユウジ』を探した。






部屋には、布団で寝ている男が目に入った。俺は話しかけた。







「あなたが…『金本ユウジ』さんですか」







男は答えない。







女性が男を布団から出した。男は意識があるのか、ないのかがわからない。





「おじいちゃん、お客さんが来たわよ」






男は答えない。







「ごめんなさいね。おじいちゃん、最近ボケてしまったの」




「…そう…ですか」







男の顔を見ると、『infinite information』に出ていた男に似ているが…老けているから本人かどうかがわからない。







「ほら、おじいちゃん。お客さんが来たんだから、みっともない姿を見せないで」








俺は二人の姿を観察していた。






俺も歳をとればこうなるのだろうか…








「そういえば、あなたの名前を聞いてなかったわね」








「俺の名前はユキです」





「ユキさんね」






そのとき、男が俺の顔を見た。





俺は男に話しかけた。







「パスワード:10230、ID:YUKI、『infinite information』をクリアした者だ」
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