仮想世界に生きる少年
「冗談だろ…」










「原因は食糧不足だ。
管理側の人間には一人一人に仕事が与えられていると言ったね。
我々の組織の比率が9:1の割合で前者の方に行ってしまった。
そのため、我々は生活が出来ず、仮想世界で『w』を造った者達以外は皆、亡くなってしまった」













「アンタも世界に戻れないわけか。情けない話だな」













「ああ、だが、私は生きている。
そして、伝えることができる。
それだけが救いだ。
我々は今から百年ほど前、超越者を造るために一度仮想世界の住人に渡した『W』に潜入し、人間生物学の井上博士に資料を提供。
そして、『超越者』を造ろうとした。
だが、失敗に終わった。
再度の実験でも成功例はなかった。
そのまま、研究は中止となったはずだった」














「研究はまだ続いていたのか」













「研究は引き継がれ、能力開発の権威である神山博士によって研究を続いた。
その結果、『超越者』らしき者が誕生した。
ただ『生きている子供』としか産まれた当時はわからなかったらしい。
しかし、子供の成長と共に『G』が活動した。
神山博士は命の危険を感じ、知り合いの森下総合病院の森下ケンイチのもとへ子供を預かりに行く途中で殺害された。
だが同時に『超越者』の子供も覚醒させてしまった」















「それが今現在の世界ってことか」















「ああ、ユキ君。
ここまでの話で君の言う『頭を揃えさせてくれ』は達成したか」














俺は頷いた。















「ここからが、問題だ。
ユキ君は『C』と名乗る組織を知っているか」
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