仮想世界に生きる少年

39. 共鳴

「この世界から出る方法は簡単な事だ。
この世界で存在する『選択の石』が出口だ。
その石に超越者が触り、超越者が体内に持つ石と共鳴させることで扉が開く」








「ちょっと待て。共鳴の部分がよくわからない」








「超越者は『選択の石』の一部から生み出されたものだ」






「…」










「共鳴させることで扉が開く。
そして、現実世界に帰れる。
先ほど言ったように管理側の人間がいれば、入力だけで扉を開くことは可能だが、現在はできない」










「それじゃあ、第六の系統『時空』とは」










「『選択の石』との共鳴が本当の能力だ。
ただ、私の書いた『想定内の能力値を超える超越者と可能性』ではそのようなことは書いていない。
それにこのことは管理側の人間も限られたものしか知られていない」


















金本の話は嘘ではなさそうだった。




伊藤が知りたがっていた情報は現実世界への戻り方だろう。




それに金本の話にあった森下とは森下総合病院の院長だろう。




奴は神山と接点がある。



それに辻本とも…森下が『W』側の人間なら、伊藤とも知り合いのはずだ。





それなのに伊藤は知らない。








つまり、この共鳴の話は金本を含むごく一部の人間しか知らないと推測される。













「ただし、問題点が一つある」