仮想世界に生きる少年
「なんだ。
超越者が能力を理解しなければならないことか」









「いいや。それは関係ない。
問題は仮想世界にいる人間と現実世界にいる人間との差だ」









「そういえば、アンタの話では保管されている人数を話していなかったな」











「管理されている人間の身体は五億人だ。
我々が管理している人類は我々の国の人類だ」











「五億人…ちょっと待て、『ヘブン』の国ですら人口一億人弱の国だ。
この世界の住人は何十億人もいるはずだ。
計算が合わない」








「そのとおりだ。この世界はバーチャルソフトと人間の思考回路を使っていると話した」










「つまり、戻れる人間には限りがあるってことか…」










「君達の世界では『選択の石』と言われているが…ある意味そのとおりのようだな」










馬鹿にしているのか…こいつは…













「私からユキ君に伝えることは以上だ」












俺は金本の話を数秒で頭の中で整理した。











「アンタはまだここに居続けるのか」











「ああ、私はまだ居続ける。
そして君のような人間にこのことを伝えていく。
それが私の…管理側の人間の役目だ」











「そうか…また来る」










俺は立ちあがり、部屋を出ようとした。











靴を履いた時に金本が話しかけて来た。










「一つ忠告しておく」
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