仮想世界に生きる少年
俺は煙草に火を点けた。




「辻本、本当の話か」


「本当よ。それが今の『ヘブン』って国なの」


「まあいい。
それよりどうして神山にあんな力があるんだ」


「私もそれが知りたい。でもわからないの。
本人は『それが運命だったんだ』とか言ってたけど」


「そうなんだ」、


「今日泊ってくのか」


「ううん、仕事がまだ残ってるの」


「仕事か。次はどこに行くんだ。
ちょっと『ノワール』まで」


「何しに行くんだ」


「ちょっと報告書で気になったことがあったから、ついでに行こうと思って」


「あそこは危険だから行かない方がいい」


「そう、忠告ありがとう」










辻本は荷物を整理し始めた。


待っている間煙草を吸った。


準備が終わり空港まで送ると言い、辻本の荷物を持ち、一緒に空港に向かった。


受付を済ませて待ち時間まで話した。



そして放送で案内を聞いた。








「辻本、久々に会えてうれしかった」


「私もよ」


「ありがとう」



「そういえば、『ヘブン』に戻ったら手伝ってほしいことがあるって言ってたけど何をするの」


「それは『ヘブン』に戻ってから言うよ」


「わかった。じゃあね」







俺は辻本が見えなくなるまでその場所にいた。
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