仮想世界に生きる少年
伊藤はソファーから立ち上がり、俺の目の前に来た。









何も言わずにレポートを受け取り、すぐに確認し始めた。









読み終わるまで、俺はソファーに座った。









伊藤はレポートを受け取った場所から動かず、レポートを読み続けた。









「山本、まさにこれが俺のほしかった内容だ」









伊藤が読み終わったらしい。










「そうかぃ。
俺は伊藤がやろうとしていることがわかったような気がする。
だが、難しいぞ。色々と…」















「だが、俺達『C』なら不可能じゃない」









「『Cの世界』か…本当の意味はこのことだったんだな」








「ああ、他の人に他言はしないでくれ。世界が混乱するからな」









「わかっている。俺は情報屋だ。
その辺のことは理解している」









「ありがとう」












伊藤は俺と向かい合うようにソファーに座った。












「これからどうするんだ。
山本は『infinite information』をクリアした。
つまり、契約解除となる」














伊藤は立ちあがり、ファイルを取り出し、また座った。








ファイルの中から俺が十年前に書いた契約書を出した。















「持っててくれたのか…」






「ああ、俺と山本との絆だからな」












伊藤は契約書を俺に渡した。










「今日を持って契約は白紙になった」










「ああ…」













ここからが俺の勝負の時だ。
< 160 / 164 >

この作品をシェア

pagetop