仮想世界に生きる少年
時計を見ると予定の時間前あと五分なった。





この五分後に神山と会ってこの基地を破壊するのが目的だ。




伊藤の話では『ヘブン』の内部を『W』が管理し、外部の勢力は神山がするという話になっていた。








神山にあんな力があるとは思わなかった。





一度見てわかったことは神山が世界から『悪魔』と呼ばれている人物だったということだけだ。








俺は軍周辺を見た。





軍基地の近くだと言うのに電気店や飲食店がずらりと並んでいた。


軍の関係者がここに来るから儲かるのだろう。


一人の少女が電気店の前で立っていた。



「お嬢さん、どうだい。この電池はヘブン産だよ」


店主が電池を売っていた。


「私の時計が動かないの。それで動くの」


「動くとも。なんたってヘブン産だからね。
長持ちもするし、品質も最高のものから出来ているんだ」


「おじさん。それ、ください」


「まいどあり」









俺は遠くから見ていたが、ここ最近ではそんな光景を何度も見て来たから気にしない。








電気店・病院・工務店等での販売はヘブン産と言えば売れた。


このおじさんが言っているように品質は最高のものだ。


ここ最近、ほかの国のメーカが売れているところなんて見たことが無い。







俺は煙草を灰皿ケースに入れた。





時計を確認すると予定時間が過ぎようとしていた。







遅刻…か。









そんなことを考えていると後ろから「山本」と声がかかった。











俺は後ろを振り向くと一人の美人がそこにいた。
< 2 / 164 >

この作品をシェア

pagetop