仮想世界に生きる少年
俺は部活の練習後に相談をした。



先生は俺が『C』に所属していることを知っていた。




だから話そうとした。



俺の迷ったこと。




仕事と学校どちらを選ぶべきか…







「綾瀬先生…相談があります」


「何、山本君」


「前に言ったと思うけど、俺のなりたいものは『観察者』です。
ここに来て考えが変わりそうなんです」


「そうなの…それは、また選手からマネージャに戻りたいってことなの」



「違います。『C』のことです」




先生は顔を怖がらせた。





「まだ、そんなことを言っているの。
あれはもう禁止したことでしょ。
忘れなさい。それがあなたのためよ」



「でも、俺にはやらないといけないことがあるんです」



「それは世界を変えることなの…」



「違います。俺はゲームをクリアしたいんです」





「呆れたわ。部活を止めてゲームがしたいだなんて…」







相談し始めてわかったことがある。




相談をする前に前提が整っていないことに…





これではいくら話しても意味が無い。







俺は自分のこれまでのことを話そうかと迷った。



だが、情報は価値があるものだ。





俺は俺自身の情報を無料で提供したくなかった。






俺は相談するのではなく、先生に問いただした。
< 55 / 164 >

この作品をシェア

pagetop