仮想世界に生きる少年
16. 口座
国を出て十年が経った。



今も伊藤からの仕事をしていた。




俺は煙草を一本取り出して、思い出に浸っていた。








煙を肺に入れ、吐く。








伊藤の求めた情報を俺が入手し渡す。


その繰り返しの中で、Xファイルを探した。


だが、もう世界の国の九割は周り、軍施設や研究施設を回ったが、手掛かりがない。


いくら俺でもさすがに苛立ちが募った。









だいたい、ヒントが少なすぎるんだ。


そんなこと、探す前からわかっていたことだ。








俺はまた煙草を吸った。






今回の任務で手に入れた情報の中にも手掛かりがない。




また一つ、無駄な時間を過ごしてしまった。




俺は伊藤に送るデータや書類を一つの封筒にまとめた。











この十年、後悔はしていない。自分のやりたいことをやった。


結果がでなくても、答えの一歩に近づいたと思いながら歩んだ道も、十年も経てば、一歩どころか一歩も進んでないように思えた。










もうゴールがないのではないだろうか…







そんな思いが出てくるほどに…
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