仮想世界に生きる少年
「まあ、どうせ、この男に話したところで何の価値にもならないさ」







「…どういうことだ」






「タクヤもいずれ知る情報だからだ。
『C』と関わっているのなら」







「意味がわからないが…」








「俺は卑怯な手を使うのが嫌いなんだ。
今回は仕方がなかった。
いづれタクヤを逃がしたい。
だが、今はこちらの状況がまずいんだ。
なんせ、『赤い死神』が来ているからね」








「そんなに強いのか…辻本は…」






「タクヤも見ただろ。あの異常な強さを…。
多才能力者の俺たちですら、手も足も出なくなってしまうほどに強くなってしまった」








「その言い方だと、前まではアウルの方が強かったように聞こえるが…」







「その通りだよ。
だが、ドライブシステムがこの状況を逆転させた」








「…」









「本当に面倒な人だよ。
彼女のせいで計画がつぶれてしまったからね。
タクヤ。君が知っている僕たちの事を教えてくれないか」









「それはあんたらが話し終わったら話す」








「…」








「あんたらも知りたいだろ。俺の持つ情報を…」











空間が突然重くなった。









『重圧』というものだろうか。








こいつはちょっとやばいかもな…












「口のきき方には気をつけるべきだ。
君は人質なんだ。
俺がやろうと思えばいつでも殺せることを忘れるな」
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