仮想世界に生きる少年
「よくわかったな。なんでわかった」






「たまたまさ」








「タクヤの言うとおり、ここは『ポイントX295-Y123』だ。
そして、俺が作られた場所…俺の始まりの場所なんだ」







「ここがねー」









俺はまた周囲を確認した。






研究施設とは似ても似つかない場所だった。






俺の描いたイメージとは違いすぎた。







「アウルの話でわかったことが二つある。
一つは多才能力者の研究内容。
二つ目が神山の研究内容。
それと『G』の存在か…三つだったな」








「よく理解したな…」







「それが俺の仕事だからな…。
だが、疑問点がある」







「なんだ」









「なんで多才能力者が『G』に所属しているんだ。
それに『W』と戦う理由もわからない」












アウルは黙り始めた。










しばらくして、ラピスが話をし始めた。









「あんたにはわからないのよ。
多才能力者として産まれた辛さが…」






「やめるんだ…ラピス」










「いいえ、言わせて。
私たちは産まれてから周りの大人たち…研究者たちにどんなことをさせられてと思ってんの…」







「…」












「私たちは毎日毎日、痛い思いも…辛い思いも…悲しいときも…苦しいこともしてきた。
だから私たちは…」






「世界を恨んでいるのか」











俺はラピスに同感などするべきではなかった。
だが、そんなことできるはずがない。










「…私たちは…」












「やめろ」









アウルの言葉でラピスはそれ以上話さなかった。
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