仮想世界に生きる少年

「逃げても無駄だ。もう逃げ場はないぞ」




銃を持ちながら話す姿の男…名前は高梨ヨシト。



確か、伊藤に連絡したときに一度聞いたことがある…







「お前がいるってことはもう外には『赤い死神』がいるのか」




「ああ、もういるはずだ。
アカネに信号を送ったからな」





「ふー…」






アウルは深呼吸をした。



身体を…頭を落ち着かせているのだろう。







「抵抗はするな。抵抗するなら君を殺すしかない」



「ヨシト…そうやって仲間を殺してきたのか」



「仲間…か。
まだNO.7のことを怒っているのか。
彼女はアカネに危害を加えた。
だから俺が殺したんだ。
悪いのは問題を起こした彼女だ。
俺はその分を返したに過ぎない」








「そうやって、責任がないと考えれば…君には罪がないというのか」






「そうだ。問題を起こした彼女が原因だ」







俺には彼らの会話の内容から八人の多才能力者の内の何人かがもうこの世界にいないとわかった。






「ひとつ聞きたい。
いつからだ。
いつからリュウと君が入れ替わっていたんだ」








「最初からだ。
アウルがリュウを取り返しに来た時にはもうすでに入れ替わっていた」







「俺も馬鹿だな…疑いもしなかった」











「アカネは…彼女は『Ｗ』の総長だ。
二千人の部下の頂点に立つ人間でもある。
全ての行動に対して答えを持ちながら行動しないと…考えて行動しないと部下がついて行かない」







「計算された作戦か…」









「そうだ」