仮想世界に生きる少年
「ここで話していると、他の人に迷惑らしい。
『ヘブン』に着いたら、連絡する」







「わかった」





「ところで、伊藤は今どこにいるんだ」





「伊藤なら『W』の施設でアカネと話してるよ」






「そうか。議題はなんだ」







「捕まえた多才能力者から得た情報について話し合ってるところ…」






「そうか…掴まったのか…ラピスは…」






「詳しいことは『ヘブン』に着いてから話す…」






「わかった」






「送ろうか…」




「いや、降りる準備も必要だし…少し『ヘブン』を見て歩きたい」







「そう…わかった」











神山は空を飛んで『ヘブン』へ戻って行った。






俺は神山の姿を見ながら煙草を一本吸おうとした。










船長がこっちを見ていた。









俺はこの船のルールを思いだした。










「すまない。船長…船内は禁煙だったね」


「いや、どうぞ。吸っていいです」



「お言葉に甘えて…」












俺は煙草を吸いながら、薄らと見える『ヘブン』を見た。
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