仮想世界に生きる少年
『ヘブン』に着き、パスポートを係員に出した。







俺の経歴を見て「おかえり」と言われた。







俺が『ヘブン』産まれだと経歴を見て知ったのだろう。








係員が俺に腕輪を付けた。







「これはなんだぃ」


「『キャンセラー』さ。
この国に入りたいのなら、付けないといけないんだ」



「そうかぃ。わかった」










係員のそばを離れて、しばらく腕輪を見た。






面倒な装置を付けられたと思った。















町に向かい歩いた。




不思議なものだった。



十年経って、世界の人々から聞いた話を頼りにイメージしたものとは違っていた。















何も変わっていない…











だが、一つだけ違うとしたら、能力者が一人もいないということだけだろう。










皆、腕輪を付けていた。













何時間も『ヘブン』を歩いたが、他の国と大差なかった。
< 96 / 164 >

この作品をシェア

pagetop