ありがとう
悲しくて、悲しくて。
もう、あんな思いはしたくない。
絶対に。
あたしだって、みにながそういう人じゃないってことくらい分かってる。
でも、どうしても無理なんだ。
「いろいろ辛かったね」
美咲は、優しくあたしに言った。
「でも、恋するって大切だと思うよ。今しかできないことじゃん?ほら、年をとってか
ら後悔したって遅いし・・・」
「うん・・・・・」
美咲の言ってることはすごく分かる。
でも、男の人を信用できない。
今のあたしには。
もう少し時間がほしい。
きっと、また恋をしたいって思う時が来るはずだから。
でも、かなり時間がかかるはず。
何年も、かかるはず・・・・・。
「まっ、頑張ってよ」
「うん。美咲に言ってなんかスッキリしたよ。ありがとう」
あたし、美咲のためにも頑張る。
だから、また相談にのってね。
今はそんな気持ちになれた。
その日の帰り道、あたしはいろいろ考えた。
もし、あの時彼の教室に行ってなかったらどうなってたかな、とか。
今更、いろいろ考えても無駄かな?
無駄だよね。
でも、考えちゃうんだ。
考えても考えても、答えはでないのに。
恋って何だか不思議。
嬉しくて楽しくてたまらないときもあれば、苦しくて切なくなるときもある。
でも、やっぱり今しかできないことだから・・・・・。

そんなことを考えていたらすぐに家に着いた。
「お母さんただいま~」
「おかえり」
あたしは家に入ってまっすぐ自分の部屋に行った。
そしてベットに飛び込む。
今日の美咲との会話を思い出していた。
恋かぁ・・・。
年をとって今恋をしてないことを後悔するのかな。
そしたら、一生後悔して生きていくことになるの。
それは絶対いや。
・・・あれ、何でこんなこと考えてんの?
あたしはすごく焦っていた。
何だか、時間がほしいとか、恋がしたくなるときが来るとか、何バカバカしいこと言ってんだろ。
そんな時間なんかないんだよ。
あたしは、今すぐに恋がしたい。
そう、今すぐに。
後悔しないためにもね。


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