gently〜時間をおいかけて〜
と言うよりも、あたしが休んでいたことを彼が気づいていたことに驚いていた。

「ああ、うん…。

ちょっと、風邪ひいちゃって…」

本当になれていないなと、あたしは思った。

人に話しかけられることも、人と話すことも、本当にあたしはなれていない。

「大丈夫?」

そう聞いてきた三島くんに、
「うん、大丈夫」

あたしは返事をした。

何をあたしは同じ言葉を繰り返しているのだろう?

これじゃあ、ただのオウムだ。

「これ」

そう思っていたら、三島くんがあたしに何かを差し出してきた。
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