gently〜時間をおいかけて〜
「昨日の授業のノート、よかったら使っていいから」

ズイッと前に差し出されたのは、ルーズリーフだった。

「でも、三島くんのは?」

彼のノートだと思うと、簡単に受け取ることができない。

テストで必要になることだってあるかも知れない。

「もう書き写したから」

そう言うと、三島くんはあたしの前にルーズリーフを置いた。

「あ、ありがとう…」

お礼を言うだけなのに、何故こうなってしまうのだろう。

そんなことにも本当になれていない。

「あ、そうだ。

ケータイを持ってる?」

三島くんがカーディガンのポケットからスマートフォンを取り出した。
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