gently〜時間をおいかけて〜

gently5.5〜航目線〜

「おい、大変だぞ!」

久しぶりの友人からの電話は、かなりと言っていいほどの切羽つまった声をしていた。

「お前の母さんが倒れて病院に運ばれたぞ!」

それを聞いた瞬間、頭の中が真っ白になった。


その電話がきたのは、俺が帰ってきてからすぐのことだった。

帰ってきたのと同時に、俺は左端をホチキスでまとめたレポートをテーブルのうえに放り投げた。

昨日、莢が徹夜して書いたレポートである。

――明日提出日だったのを忘れてた!

そんなことを叫びながら、莢は大急ぎでレポートを書いていた。

あんなに急いで書いたはずなのに、字は読めるくらいにキレイである。
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