gently〜時間をおいかけて〜
それでも三島くんは嬉しそうだった。

これだと、あたしのバレバレなウソに気づいていない様子だ。

何の変哲もない会話を交わしながら、ただ料理を食べた。

テキトーに相づちを打って、話を受け流した。

ああもう、あたしは何がしたいのだろうか?

「料理、すごく美味しかったよ」

お互いの皿が空っぽになったところで、あたしは言った。

「そう、それはよかった」

三島くんはホッとしたように笑うと、ナプキンで口をふいた。

ふと思い出したとように、三島くんの表情が真剣になった。

彼はテーブルのうえに、使い終わったナプキンを置いた。
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