gently〜時間をおいかけて〜
「風見さん、すごく寂しがってた。

最近は電話やメールの数が減ってるって」

そこまで話すと、あたしは椅子から立ちあがった。

「じゃ、あたしは帰るから。

三島くんも彼女のところへ行って、謝ってきた方がいいよ?

寂しい思いをさせて、悪かったって」

テーブルの隅に置いてあった伝票をつかむと、
「ここ、割り勘ね」

唖然としてあたしを見つめる三島くんに手を振ると、あたしはその場を去った。

店を出ると、また寒さが襲ってきた。

「早く行かないと、時間に間にあわないぞ」

その声に視線を向けると、またカップルが目の前にいた。
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