gently〜時間をおいかけて〜

gently7.5〜航目線〜

振り返った父親が、俺を見つめているる。

「――母さんとやり直すつもりは、ないの…？」

知らずに、俺の唇が動いていた。

「――航…？」

父親が俺の名前を呼んだ。

「母さんと一緒に、人生をやり直せないの？」

シンと、この場に沈黙が流れた。

「そりゃ、親父は母さんにずいぶんとつらい思いをさせたと俺は思ってる。

寂しい思いをさせたって恨んでる。

でも…まだ、母さんとやり直せるんじゃないの？」

黙っている親父とは対照的に、俺は唇を動かしてしゃべっている。

「まだ、時間は残っているはずだよ。

その残りの時間を利用して、母さんとやり直せないの？」

俺は言った。