gently〜時間をおいかけて〜
父親を憎んでいたはずだった。
いつも仕事しか頭にない父親を、俺は嫌っていたはずだった。
母さんに寂しい思いをさせたから。
母さんにつらい思いをさせたから。
だから、父親を憎んでいるはずだった。
けどいつの間にか、俺の中には父親への憎しみはなくなっていた。
さっきの父親の話を聞いたからだろうか?
俺の話を黙って聞いていた父親は、
「――そうだな…」
小さな声で、返事をした。
「そんな方法があったんだな。
全く気づかなかった」
父親は言った。
いつも仕事しか頭にない父親を、俺は嫌っていたはずだった。
母さんに寂しい思いをさせたから。
母さんにつらい思いをさせたから。
だから、父親を憎んでいるはずだった。
けどいつの間にか、俺の中には父親への憎しみはなくなっていた。
さっきの父親の話を聞いたからだろうか?
俺の話を黙って聞いていた父親は、
「――そうだな…」
小さな声で、返事をした。
「そんな方法があったんだな。
全く気づかなかった」
父親は言った。