gently〜時間をおいかけて〜
湯気が充満する小さなバスルームで、
「――ふうっ…」

湯船に浸かりながら、あたしは息を吐いた。

とりあえず、お互い丸く治まったようだ。

航も無事にお父さんと和解して、無事解決できた。

あたしも三島くんにお別れを言って、無事解決した。

「でも解決って、こう言う時に使うのかな?」

けど、1つだけ解決できていないことがあった。

それは、あたしの気持ちだ。

「自分の息子に恋するなんて、あたしも相当な親バカなんだな」

あたしは自嘲気味に呟いた。

風呂からあがって、リビングに入ろうとした時だった。

「――うん、わかってる」

話声が聞こえた。
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