gently〜時間をおいかけて〜
航、誰かと電話をしているのか。

だったら邪魔できないな。

そう思った時、
「明日帰るから」

そう言った航の言葉に、あたしは思わず耳を疑った。

「――えっ…?」

明日帰るって、どう言うことなの?

「じゃあ、おやすみ」

携帯電話を切った航が、
「何だ、いたの?」

あたしの存在に気づいた。

「今、父親と話してたんだ。

今夜は泊まるから帰れないって言って」

「帰っちゃうの…?」

そう言ったあたしに、航は目を丸くした。

「――航、明日帰っちゃうの…?」
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