gently〜時間をおいかけて〜
そう聞いたあたしに、航は目を伏せた。

「そりゃ、帰るに決まってるだろう。

いつまでもいられまい」

何で、当たり前みたいにそんなことを言うの?

「ねえ、航。

あたし、間違ってる?

自分の息子を好きになるなんて、間違ってる?

未来で生きてる人を好きになるなんて、間違ってる?」

「――莢…」

いろいろと複雑過ぎて、何が言いたいのかわからない。

とにかく頭の中がこんがらがっていて、何も考えることができない。

「あたし、もう1人になりたくないの…。

――航が、好きなの…」
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