gently〜時間をおいかけて〜
――俺たち…?

それは、あたしと航のことを言っているのだろうか?

もしかして、
「――莢が好きなんだ、母親であったとしても」

航が言った。

「――ウソ…」

航も、あたしが好き?

「本当だよ。

本当に、莢が好きなんだ」

航が言った。

「ウソじゃ、ない…?」

そう言ったあたしに、
「ウソじゃない」

航が首を横に振った。

「本当に、莢が好きなんだ。

莢が好きで好きで、仕方がないんだ」

航が言った。

この時間が止まればいいのに。

このまま動かなくなってしまえばいいのに。
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