gently〜時間をおいかけて〜
「――航…」

「んっ?」

「抱いて」

あたしは言った。

「――今すぐ、抱いて…」

この時間を忘れないように。

この気持ちを忘れないように。

今すぐこの躰に、全てを刻みつけて欲しい。

航は困ったように笑うと、
「――わかった」

あたしの唇に、またキスをくれた。


丁寧な指先に、涙が出そうになる。

何度も触れてくる唇に、胸が締めつけられそうになる。

あたしを包むぬくもりに、愛しい気持ちがあふれる。
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