gently〜時間をおいかけて〜
「――どうして俺たちは、好きになったんだろう?」

親子なのに。

時代が違うのに。

俺たちは、お互いを愛しあってしまった。

お互いに恋に落ちてしまった。

母親であったとしても。

息子であったとしても。

時代が違ったとしても。

俺たちは、お互いを愛してしまった。

「――航…」

莢が俺の名前を呼んだ。

「んっ?」

「抱いて」

涙目で、莢が言った。

「――今すぐ、抱いて…」

もう止まらなかった。

今は、彼女が愛しくて仕方がない。

「――わかった」
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