gently〜時間をおいかけて〜
そりゃ、そうか。

航からして見れば、あたしは母親なんだよね。

あたしのことを名前で呼ぶことに違和感があっても、当たり前だよね。

「つかぬことを聞くけど、航は今いくつなの?」

航に話を繋げるために、あたしは質問をした。

「19」

航は答えた。

「じゃあ、あたしと同い年だ。

なおさら無理なんじゃない?

あたしのことを“お母さん”って呼ぶのは」

そう言ったあたしに、航が笑ったのであたしもつられるように一緒になって笑った。

ひとしきり笑った後、
「ところで、何だけど」

あたしは話を切り出した。
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