gently〜時間をおいかけて〜
調べるのは簡単なことだった。

何かわかるものがないかと物置き代わりにしている地下室を漁ってみたら、卒業アルバムを発見した。

2人が通っていた大学の卒業アルバムだ。

ページを開いたら、そこに載っていたのは若き日の2人の写真だった。

坪倉莢と三島祐樹――父親は坪倉家の婿養子だから、アルバムに掲載されていた名字は当然旧姓である“三島”だった。

アルバムを見た俺の胸の中で、ある思いが生まれていた。

それが、過去を変える…と言うことだった。

俺が過去を変えたことによって、2人の存在も俺の存在もこの世から消えてしまうなら構わない。

それで、今みたいな状況にならないと言うのならばこの世から消えてしまった方がずっとマシだと思った。
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