gently〜時間をおいかけて〜
「航」

その声にハッと我に返ると、目の前には莢がいた。

今は夕飯だったことを思い出した。

ショッピングモール内にあるバイキング形式のレストランで、莢と2人で食事をしていた。

「何?」

「それ」

莢がフォークで俺の皿を指差してきた。

皿に乗っているのは、先ほどとってきたばかりの酢豚とポテトグラタンである。

「えっと…」

訳がわからなくて戸惑っていたら、
「グラタンの方いい?」

莢が聞いてきた。

ああ、そう言うことか。

「いいよ」

俺が返事をすると、莢は喜んでグラタンを口に入れた。
< 61 / 202 >

この作品をシェア

pagetop