gently〜時間をおいかけて〜
彼女の息子ながら、感心をしてしまった。

もはや、すごいとしか表現のしようがない。

あの細くて華奢な躰のくせに、胃袋はデカいんだな。

俺はグラタンを口に入れると、窓の外に視線を向けた。

藍色に染めあげられた夜空がそこにあった。

その下で輝いているのは、人工的な光である。

それが街の灯りだったり、車のライトだったり…まるでそれは、色とりどりの小さな宝石をばらまいたようだった。

夜の風景は、相も変わらずだ。

時が何年過ぎようとも、見られるものである。

ガタンと音がして、視線を戻すと莢が椅子に腰を下ろしていた。
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